便秘の診断(考え方) ~ 便秘と大腸癌(大腸がん)

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便秘の診断(考え方)

 

便秘


便秘の原因・種類を理解して診断を進めることが大切である.


問診(確認すべき内容)

①いつからか?

新生児期→肛門閉鎖
 幼児期→Hirschsprung病
思春期→過敏性大腸症候群の便秘型,常習性便秘
中・高齢者→この場合はいろいろあります。
常習性便秘,
弛緩性便秘,
比較的短期の発症の場合は大腸癌,
急激な発症ではイレウス(腸閉塞)を考える必要があります。


②下血の有無→
大腸癌,宿便性潰瘍,直腸粘膜脱症候群などを考える必要があります。

基本的には下血の場合は3日以内に内視鏡検査を考える必要があります。

いやでしょうけど急ぐ必要があります。時間が経過すると原因が分からなくなる可能性が高くなります。

③開腹手術の既往歴→
癒着による通過障害,
悪心・嘔吐などが伴えば癒着性イレウスを考える必要があります。


④服用薬剤の有無と内容: これが結構多いのですが、心療内科、精神科の場合に患者さんに細かく説明していないことが多く結構手間がかかります。患者さんに便秘の副作用を説明しないのは病気の内容からやむを得ない場合が多いのですが・・・なかなか大変です。

抗不安薬,
抗精神薬,
鎮痛薬,
抗コリン薬(わかりやすく言うと鼻水の薬、かゆみの薬です。)
Parkinson病治療薬など
あと睡眠薬もあり得ます。


⑤肛門疾患の既往→
痔核,瘻孔,肛門周囲膿瘍などがあり得ます。


⑥基礎疾患として考える事・・・たくさんあります。

1内分泌・代謝性疾患

糖尿病,甲状腺機能低下症など

2神経内科的疾患
中枢性疾患,Parkinson病,脊髄性疾患

3膠原病
強皮症など

4職業歴:
排便を抑制せざるをえない職業など

5排便習慣:
浣腸の習慣(浣腸はやむを得ない場合だけにすべきです。最近はやりの便の洗浄もときなら良いのですが、家庭で毎日するのは専門家、少なくともここでは消化器の医師か、肛門科の医師にアドバイスをもらって決定した方が良いと思います。ここ重要です。
下剤の濫用 下剤も使い方を考えるべきです。市販の同じ薬を使用していると段々きかなくなってきます。
摘便の習慣

6環境の変化:
旅行,
転居,
就職,
人間関係の変化→急性では一過性便秘

7ストレスなど→
過敏性腸症候群の便秘型  多いですが、下痢のタイプも多いです。


身体所見


①全身所見:
血圧,脈拍,皮膚→脱水状態では腸閉塞


②腹部所見

1視診:腹部膨隆→

腹水,イレウス,

腸管の蠕動の観察→イレウス,

鼠径部の膨隆→鼠径ヘルニア


2触診:腫瘍触知→
腫瘍や炎症性腫瘤,
腸管の触知→痙攣性便秘,
腸壁の緊張低下→弛緩性便秘

3打診:ガスの貯留→
弛緩性便秘や閉塞性疾患,イレウスなど

4聴診:
腸蠕動の亢進,金属音→イレウス,
腸蠕動の低下→弛緩性便秘

5肛門,直腸診:
括約筋の緊張低下→
弛緩性便秘,
括約筋の緊張亢進→痔疾,瘻孔,周囲炎など,
腫瘤触知→直腸癌,宿便,転移性腫瘍など



検査所見
①便の検査:
潜血検査→
陽性なら注腸造影,内視鏡検査が必要
②X線検査
a腹部単純X線:
           ガスや糞便の貯留,
           ニボー→イレウス
b注腸造影検査:
            大腸の機質的疾患の診断,
            弛緩性便秘,
            痙攣性便秘の診断
③内視鏡検査:
        器質的疾患の診断  癌などの診断



便秘をきたす疾患と頻度


機能性便秘
①一過性便秘:
旅行や環境の変化などにみられる一過性の便秘・・・頻度は高いです。

②弛緩性便秘:
高齢者ややせた女性,下剤の長期服用者に多い傾向です。

③痙攣性便秘
:兎糞様の便を認める.
壮年の男性で太った人や過敏性腸症候群に多いようです。

④直腸性便秘:
痔疾や肛門の痛みによる便秘・・・痔疾を有する場合には比較的多いようです。


症候性便秘
①大腸癌:出血を伴う場合には,直腸癌やS状結腸癌が多いです。
慢性といっても1年以内に便秘を訴える者に多いです。
期間は本人とお話を聞いている人では認識が違います。具体的な日数の確認をする必要があります。
前から・・・でも一年前と、学生の時からと、10年くらいまえ(会社を辞めたから・・・)など状況によって解釈はいろいろできます。

②宿便:高齢者や長期臥床者にみられます・・・直腸診で硬い便が触知されます。

③炎症による狭窄:
炎症性腸疾患・・・Crohn病,潰瘍性大腸炎,腸結核,虚血性大腸炎狭窄型など・・・に伴う狭窄ですが頻度はかなり稀です。
S状結腸過長症・・・習慣性の便秘となりやすく頻度はわりと高いです。

④全身性疾患に伴うもの:
糖尿病・・・は神経の力が落ちます、胃腸の運動の力がおち、胃内容排泄遅延、便秘がおこりやすくなります。
甲状腺機能不全症(機能低下)でも起こりえます。


薬剤による便秘
精神科領域による薬剤使用者では頻度が非常に高いです。
Parkinson病の治療薬でも便秘の頻度は高いです。
下剤の長期連用者や浣腸常習者では便秘を訴える頻度が高く対応が難しいです。



鑑別のポイント
弛緩性便秘:  ①高齢者,②女性,③慢性の訴え
痙攣性便秘:  ①兎糞様便,②ストレス,③排便前の腹痛,排便で軽快
大腸癌 :     ①血便,②便通細小化,③画像所見
腸閉塞 :     ①嘔吐,②蠕動亢進,③腹部単純X線写真でニボー
薬剤による便秘:①薬剤の確認,②器質的疾患の除外




便秘の診断がうまくいかない場合は,原因が小腸にあるような場合です。

腸閉塞の原因によっては緊急の処置が必要な場合があるので,イレウス管の挿入を行い減圧と診断のため水溶性造影剤(ガストログラフィン)による造影が必要かどうか?判断する必要があります。
これらの手技が行えない施設では他施設への搬送が必要となります。
緊急手術の適応になる場合もあるので対応できる施設への搬送が重要です。

便秘の原因が肛門の機能障害による場合は,診断が困難なことが多いです。括約筋の機能検査などによる精密検査が必要な場合があるため専門家の診断が必要になります。

 

 


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